今月早々、堀江貴文が自身のX(Twitter)で『101回目のプロポーズ』(91年、フジテレビ系)を「最近見てるんだけどほんとめちゃ良いよね」「ほんとクオリティ高い」などと称賛したことが大きく報じられた。

さらに6日、昼の生放送バラエティ番組『ぽかぽか』(フジ系)に武田鉄矢が生出演して同作のエピソードを披露。この1週間あまり、ネット上には『101回目のプロポーズ』に関するコメントが増えていた。

その武田は今春スタートの新番組『サン!シャイン』(フジ系)の火・水曜のスペシャルキャスターに就任し、たびたび発言に賛否の声があがるなど話題の人となっている。そんな武田は現在76歳で芸能生活は半世紀を超える大ベテランだが、代表作としてあげられるのは『3年B組金八先生』(TBS系)と『101回目のプロポーズ』ばかり。

しかし、ドラマフリークの中には、武田の主演ではなく助演としての出演作を称える声も多い。放送年をさかのぼる形であげていくと、『ストロベリーナイト』(10年、フジ系)の「ガンテツ」こと勝俣健作、『JIN -仁-』(09年、TBS系)の蘭方医・緒方洪庵、『白夜行』(06年、TBS系)の執念深い刑事・笹垣潤三、『パーフェクトラブ!』(99年、フジ系)の軽薄なイケメン息子とは真逆の頑固親父・楠幸太郎などがある。

ただ、ここで武田鉄矢の隠れた代表作としてあげたいのは『バージンロード』(97年、フジ系 ※FODで配信中、第1~3話無料)。「これぞ武田鉄矢」という泣かせる芝居を存分に見せていた。

  • 『バージンロード』(C)フジテレビ

    『バージンロード』(C)フジテレビ

昭和の頑固親父に感動させられる

『バージンロード』と言えば、主題歌「CAN YOU CELEBRATE?」が流れ、安室奈美恵と小室哲哉もたっぷり登場したオープニングを思い出す人が多いかもしれないが、まずは第1話のあらすじをあげておこう。

桜井和美(和久井映見)は父・光(武田鉄矢)の猛反対を押し切り、ジュエリーデザイナーを目指してニューヨークへ。しかし1年後、和美は「父、危篤」の知らせを受け取り、志半ばで帰国便に乗るが、実は妻子ある男性との子を妊娠していた。

和美は機内で隣に座ったフリーのルポライター・吉見薫(反町隆史)に3万円で婚約者になりすますことを依頼し、彼は好奇心から承諾する。帰宅すると「危篤」は行き違いによるものだったが、和美が倒れ込んだことで妊娠していることが光と薫にバレてしまう。和美は未婚の母として「子どもを産む」と宣言し、薫は自身の悲しい過去もあって偽の父親役を引き受ける……。

まず武田が演じた和美の父・光にふれると、自宅で古い写真館を営む典型的な“昭和の頑固親父”。頭ごなしにニューヨーク行きを反対しただけでなく、メガネからコンタクトレンズに変えたことすら否定してしまう。

ただその一方で出国直前の和美に、妻の形見である結婚指輪と「親不孝娘へ。こういうの作れるもんなら作ってみろ」と書いた手紙を渡す優しさを見せた。とことん嫌な父親像で終わらせず、ギリギリのところで共感させる絶妙なさじ加減に感動を誘われる。