テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、4月にスタートした連続テレビ小説『あんぱん』の視聴分析をまとめた。
ドラマに心の動きを求める若年層の心つかむ
まずは、過去2年分の朝ドラ作品『らんまん』『ブギウギ』『虎に翼』『おむすび』の視聴データと比較しながら分析する。個人全体・男性全体・女性全体・コア視聴層(男女13~49歳)の注目度、そして世帯視聴率(※REVISIO調べ、以下同)で比較をすると、『あんぱん』はコア視聴層で高い支持を得ていることが分かる。同属性2位の『らんまん』とは4.3ポイントもの差があり、その差は歴然だ。
同ドラマは、『アンパンマン』の作者・やなせたかしさんと、妻・小松暢さんをモデルにした物語。コア視聴層は、いわゆるファミリー世代で、そんな世代にとってなじみの深い『アンパンマン』が題材になっていることが、この世代の視聴者の関心を集める理由の一つだろう。
さらに、メリハリのあるストーリー展開も、視聴者を惹きつける要因となっている。第1~2週では、主人公・朝田のぶの子ども時代が描かれ、家族や友人、町の人々との心温まる交流がつづられた。一方で、のぶの父・結太郎が第1週で亡くなるなど、シリアスな場面もあった。感情の起伏を伴うストーリー展開が、ドラマに心の動きを求める若年層の心をつかみ、注目度の上昇につながったのではないだろうか。
『虎に翼』と同じ昭和初期が舞台
朝ドラに対する期待や評価は、物語の「時代背景」にも大きく左右される。『あんぱん』の舞台は昭和初期。これから激動の時代へと向かう中で、当時の時代背景と主人公たちの成長物語がうまく重なれば、さらに幅広い層の支持を得ることが期待できる。
今回のランキング対象作品においては『虎に翼』も昭和初期の設定だった。「法」をテーマにした社会派ドラマのような骨太な展開で、各方面から非常に高く評価された作品だ。今回比較した作品の中では唯一10%を超える世帯視聴率を獲得しており、さらに注目度の点においても性年代問わずバランス良く支持を得ていた様子が見て取れる。
『あんぱん』も視聴者の期待に応え、高い人気を獲得できるのか――今後の推移にも注目していきたいところだ。