現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月～土曜8:00～ほか ※土曜は1週間の振り返り)で柳井嵩(北村匠海)の弟・千尋役を演じている中沢元紀にインタビュー。朝ドラ初出演の反響や千尋としての役作り、本作で得たかけがえのない経験について話を聞いた。

  • 連続テレビ小説『あんぱん』柳井千尋役の中沢元紀

    連続テレビ小説『あんぱん』柳井千尋役の中沢元紀

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。

12日放送の第54回では、嵩と千尋が久しぶりに再会し、小倉の旅館で思いをぶつけ合うという、やなせさんの実話に基づいた重要なシーンが描かれた。千尋は海軍予備学生に志願し、5日後に駆逐艦に乗艦すると説明。幼い頃からのぶのことが好きだったと打ち明け、「愛する国のために死ぬより、愛する人のために生きたい」と語る千尋に、嵩は「必ず生きて帰れ!」と言葉をかけた。

千尋役の中沢は、朝ドラ出演を目標に掲げていたという。

「朝ドラは役者をやっていたら一度は出演してみたいという夢の舞台の一つなので、決まった時はとてもうれしかったですが、最初は実感があまり湧かなくて。衣装合わせだったり、『あんぱん』関連の話を聞くたびに、どんどん実感が湧きました」

朝ドラ出演に家族も大喜びだったという。

「報告した時にすごく喜んでくれました。おじいちゃんおばあちゃんも一番楽しみにしてくれていて、今も『毎日2回は見る』と言ってくれていて、すごくありがたいです」

友人や役者仲間からもうれしい反響があった。

「友人から『見ているよ』『すごいね』と言ってもらいましたし、役者仲間から『刺激になる』という言葉をもらい、すごくうれしかったです」

中沢自身も朝ドラを視聴者として楽しんでいたそうで、「学校に行く前に見ていたと印象強く、『ゲゲゲの女房』などすごく楽しく見ていました」と振り返る。

「目標にしたい人物像」“完璧人間”千尋役のプレッシャーと責任感

千尋は、幼少期は体が弱く兄の陰に隠れるような弟だったが、大きくなるにつれ、家族思いで優しく、文武両道の青年に。中沢は最初に人物像を聞いた時に、「完璧人間だな」と感じたという。

「オーディションを受けて選んでいただいているんですけど、本当に僕でいいんだろうかという思いが強かったです。プレッシャーもありつつ、実際にいらした方をモデルにした役なので、演じる上での責任感も大きいなと思いながら、真摯に役と向き合って演じました」

自身と千尋との共通点については「近い部分は多少ある」とのこと。オーディション時に制作統括の倉崎憲氏から「目の奥の表に出さない熱さが千尋と合っていた」と言われたエピソードを紹介し、「僕もあまり感情を100%表に出すタイプではないので、そこは千尋と同じなのかなと。でも、千尋は文武両道で、その上、優しさもあるという、僕も人として目標にしたい人物像だなと思いました」と語った。

撮影に入る前には、柔道家の千尋としての説得力を持たせるために体作りに励んだ。

「柔道家に見える体作りをしました。柔道家は引く力が強く、腕や肩回り、胸あたりがしっかりしているので、ジムに行って鍛えて。約2カ月間、行けるときはほぼ毎日行っていました。見た目が変わると意識も変わるので」

前作『ひだまりが聴こえる』から約8キロ増やしたそうで、「とりあえず体重を増やしてから筋肉に変えるという作業をずっとしていました」と説明した。