トイレDIYリフォームのメリット・デメリット
トイレをDIYでリフォームする場合のメリット・デメリットは以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・費用を大幅に節約できる ・自分好みにカスタマイズできる ・達成感が得られスキルが身につく |
・トラブル発生のリスク ・仕上がりの品質や作業時間の課題 ・保証・アフターサポートがない |
メリット
トイレのDIYリフォームでは以下のようなメリットがあります。
- 費用を大幅に節約できる
- 自分好みにカスタマイズできる
- 達成感が得られスキルが身につく
費用を大幅に節約できる
業者に依頼すると工事費込みで十数万円~数十万円かかるトイレリフォームも、DIYなら材料費・道具代のみ(数千円~数万円程度)で済む場合があり、大幅なコスト削減が可能です。
もちろん、材料費や道具代に関してもすでに所有している道具や、安い素材を見つけることでさらに費用を節約できることもあるでしょう。
自分好みにカスタマイズできる
壁紙の柄や床材、便座などを自分の好みで選んで施工できるため、業者任せにするよりも理想のイメージに近いトイレ空間を実現しやすいです。
棚の設置など小物類の追加も自由に行えますし、その位置やデザインも自分の思い通りになるため、快適なトイレ空間になるでしょう。
達成感が得られスキルが身につく
自分でリフォームをやり遂げることで大きな達成感が得られ、住まいに対する愛着も増します。
また、作業を通じてDIYの知識や技術が身につけば、今後のメンテナンスや他の箇所の修理にも役立ちます。
デメリット
トイレのDIYリフォームでは以下のようなデメリットが考えられます。
- トラブル発生のリスク
- 仕上がりの品質や作業時間の課題
- 保証・アフターサポートがない
トラブル発生のリスク
給排水管の接続不良による水漏れや、施工ミスによる便器破損・故障など、専門知識不足から思わぬトラブルが発生するリスクがあります。
例えば水漏れの場合、床材の腐食やカビ発生につながり、大きな損害になる恐れもあります。
知識や経験がないとこのようなトラブルにより大きな被害を受けてしまうというリスクもあります。
仕上がりの品質や作業時間の課題
DIYではプロのように仕上げが綺麗にできなかったり、作業に時間がかかったりする場合があります。
特に初めて挑戦する作業では段取りに手間取り、トイレが使えない時間が長引くこともあるでしょう。
保証・アフターサポートがない
DIYで取り付けた設備や施工箇所はメーカー保証や業者のアフターサービスの対象外となります。
万一不具合が起きても自分で対応しなければならず、結果的に修理に追加費用がかかる可能性もあります。
また例えば業者に修理を依頼する場合でもDIYで行なったリフォーム箇所に関しては修理ではなく交換となってしまう可能性もありますのでその点は注意が必要です。
トイレをDIYでリフォームする前に確認しておくべきこと
トイレをDIYでリフォームする前に、以下のことを必ず確認しておきましょう。
- DIYでできるトイレリフォームの範囲
- かけられる予算と時間
DIYでできるトイレリフォームの範囲
まず、DIYでどこまでのリフォームが可能かを把握しておきましょう。初心者でも比較的簡単にできる作業と、専門業者に任せたほうが安心な作業があります。
- 便座・温水洗浄便座(ウォシュレット)の交換
- トイレットペーパーホルダーやタオルハンガーの取り付け・交換
- 壁紙の張り替え
- 床材(クッションフロアなど)の張り替え
- トイレタンク内の部品交換(ボールタップやフロート弁の交換)
中にはある程度の知識が必要となる作業もありますが、比較的簡単にできるため、実践する人も多い作業です。
一方で、DIYで対応が難しい作業には以下のようなものがあります。
- 便器(陶器本体)の交換や和式から洋式への改修
- 給排水管の移設・交換など配管そのものに関わる工事
- コンセントの増設や照明移設など電気工事全般
- トイレ空間の大幅なレイアウト変更(壁の撤去・移動、新設など含む)
上記のような高度な工事は専門知識や国家資格が必要で、個人が無理に行うと法令違反や重大な事故につながる恐れがあります。
DIYでは手を出さず、専門業者に任せるのが安全です。
かけられる予算と時間
次に、リフォームに充てられる予算と時間を現実的に見積もっておきましょう。まず予算面では、材料費と工具の購入費がどれくらいになるか事前に算出します。
便座や温水洗浄便座など製品を新しく購入する場合は数万円程度、壁紙やクッションフロアの張替え程度なら材料費は数千円~数万円が目安です。お持ちでない工具類を揃える費用も考慮しましょう。
ただし、一度工具を購入すれば今後のメンテナンスや他のDIYにも活用できるため、長期的には無駄にはなりません。
作業にかけられる時間も重要な要素です。DIY作業はプロに依頼する場合と比べて長い時間を要する傾向があります。
平日昼間は仕事で忙しい方は、週末や連休などまとまった時間を確保できる日程に計画しましょう。
各作業のおおよその目安時間を把握しておくと安心です。

初めて行う作業では段取りに手間取り、想定以上に時間が延びることもあります。トイレが1か所しかないご家庭では、作業中トイレが使えなくなる点にも注意が必要です。
できれば家族が外出している間に作業を行う、作業を数日に分けて毎日使える状態を確保する、必要に応じて簡易トイレを用意するなどの対策も検討してください。
時間に余裕を持った計画を立て、焦らず丁寧に進めることが成功への近道です。
トイレのDIYリフォーム事前準備
トイレをDIYでリフォームする前に、以下のようなことを準備しておきましょう。
- 改修前の状態の記録
- 必要な作業手順の確認
改修前の状態の記録
DIYに取り掛かる前に、現在のトイレの状態をしっかり記録・確認しておきます。
具体的には、トイレ室内の寸法(縦横の長さや天井高)を測り、リフォーム後に設置する設備や材料が収まるか確認しましょう。
特に便器を交換する場合は、壁から排水管の中心までの距離である排水芯を正確に測定して記録しておくことが重要です。
日本の住宅では排水芯が200mmや120mmなど数種類あり、新しい便器がその寸法に合わないと設置できません。
同様に、壁や床から給水管(給水バルブ)の位置・高さも測っておき、タンクやウォシュレットのホースが届くか確認します。
また、現在のトイレ設備の配置や配管の接続状況を写真に残しておくと、作業中や組み立て直しの際に役立ちます。
たとえばタンク内部の部品配置や、便座の固定部品の付き方など、後で「元がどうなっていたか」を確認できるようにしておきましょう。
さらに、トイレ床や壁の現状もチェックしてください。床材の腐食やシミがないか、壁に下地の傷みがないかなどを事前に把握しておくと、必要に応じて下地補修の計画も立てられます。
トイレの止水栓(給水の元栓)が正常に閉まるかどうかも確かめ、問題があれば事前に修理を検討しましょう。
必要な作業手順の確認
DIYを始める前に、作業の手順を頭の中でシミュレーションし、必要に応じて書き出して確認しておきましょう。
リフォームの内容に応じて、どの順番で作業を進めるかを決めておくことが大切です。
例えば、壁紙と床の張替えと便器交換をすべて行う場合、一般的には「便座やタンクを取り外す→古い床材・壁紙を撤去→新しい床材・壁紙を施工→便器やタンクを取り付け直す」という順序になります。
作業手順を間違えると、せっかく張り替えた床を傷つけてしまうなど二度手間になる恐れがありますので注意してください。
また、各工程ごとに具体的な方法を事前に調べて理解しておくことも重要です。
製品を交換する場合は取り扱い説明書に詳細な手順が記載されていますので、施工前によく読んでおきましょう。
インターネット上にもDIYリフォームの解説動画や記事が多数あります。作業開始前にそうした情報を参考にしてイメージトレーニングをしておくと安心です。
手順を書き出したチェックリストを用意し、漏れなく進めるようにするとよいでしょう。
さらに、作業中に水道や電気のどのスイッチを操作する必要があるか(例:開始前にトイレの止水栓を閉める等)もあらかじめ確認し、必要な箇所に付箋を貼るなど準備しておけば、焦らず落ち着いて対処できます。
トイレのDIYリフォームに必要な道具
DIYリフォームに取り掛かる前に、必要な道具類をしっかり準備しましょう。
作業内容に応じて使う工具は異なりますが、一般的に次のような道具があると安心です。
- プラスドライバー・マイナスドライバー:ネジの締め外し用。ペーパーホルダーの交換など基本的な作業に必須。
- レンチ類(モンキーレンチ、スパナなど):ナットの締め緩め用。給水管の接続部や便座・便器固定ボルトの脱着に使用。
- プライヤー・ペンチ:部品のつかみ外しや、ピン・針金類の切断に使用。水漏れ修理で鎖を外す際などにも便利。
- カッターナイフ:古いシーリング材の除去や壁紙・床材のカットに使用。細かな切断作業に欠かせません。
- スクレーパー(へら):古い壁紙や床材、シーリングを剥がすのに便利。コーキングの除去など下地処理で活躍します。
- メジャー(巻尺):寸法測定用。材料を正確に切るために必要。プランニング時の採寸にも使用。
- 水平器(水準器):取り付け部の水平を確認するための道具。ホルダー類をまっすぐ設置するのにあると便利です。
- 電動ドライバー(電動ドリル):下穴を開けたりネジを効率よく締めるのに役立ちます(無くても手動で代用可)。
- 保護具(手袋・ゴーグル・マスク):安全対策用。陶器の破片やホコリから身を守ります。作業中は常に着用しましょう。
- バケツ・雑巾:タンクや配管内の水を受けたり、こぼれた水を拭き取るために使用。水回り作業では必須です。
- シールテープ(テフロンテープ):給水管のねじ接合部に巻いて水漏れを防止するためのテープ。配管作業で活用。
- コーキング材(防水シリコン)とコーキングガン:便器設置後の隙間埋めや、壁と床の取り合い部分の防水シールに使用。
どんな作業を行うかによって使用しない道具もありますので、まずは行いたい作業を明確にし、その作業にどんな道具を使用するのかを調査してから準備すると良いでしょう。
トイレのDIY手順
ここからは、具体的なトイレDIYリフォームの方法を難易度別に紹介します。
初心者でも取り組みやすい内容から、経験者向けの本格的なリフォームまで順に解説しますので、ご自身のスキルや挑戦したい範囲に応じて参考にしてください。
簡単なDIY
まずは比較的簡単にできるDIYリフォームです。水道工事士などの資格がなくてもでき、短時間で完了しやすい作業から取り掛かるとよいでしょう。
ウォシュレット・便座交換
トイレの快適性を高める代表的なDIYとして、便座や温水洗浄便座(いわゆるウォシュレット)の交換があります。
比較的簡単な作業で、最新の暖房便座や洗浄機能付き便座を取り付けることができます。
交換手順としては、まずトイレの止水栓を閉め(タンクへの給水を止め)、温水洗浄便座の場合は電源プラグも抜きます。

その状態で便座裏側にある固定ナットをモンキーレンチなどで緩め、古い便座と便蓋を取り外します。
次に、新しい便座を取り付けます。付属の固定具を便器の穴にセットし、本体をはめ込んでネジで固定します。
温水洗浄便座の場合は、さらに付属の分岐金具を介して給水ホースをタンク給水管に接続し、電源プラグをコンセントに差し込みます。
取り付け後、止水栓を開けて水が漏れないか確認し、電源を入れて正常に動作するか試しましょう。
古い便座を固定ボルトから外して新しい製品を取り付け、給水ホースとコンセントを接続して漏れや動作を確認するという流れは基本的に同じです。
ちなみに、ウォシュレットの取り付けについてはこちらの記事でもご紹介していますので参考にしてください。

トイレットペーパーホルダー・タオルハンガーの交換
トイレットペーパーホルダーやタオルハンガーといった小物の交換も、初心者にとって取り組みやすいDIYです。
見た目の印象が変わるだけでなく、使い勝手も向上します。作業は壁に固定された古いホルダーを取り外し、新しいものを取り付けるだけのシンプルな内容です。
多くのホルダーは背面のビス(ネジ)2本程度で留まっているので、ドライバーでこれらを外せば簡単に取り外せます。
ネジ穴が劣化して緩んでいる場合は、同じ位置に新しいホルダーを付けてもすぐ緩む可能性があります。
その場合は、新たに穴を開け直すか、アンカープラグを補充してしっかり固定できるようにしましょう。
新しいホルダーを取り付ける際は、付属の取付説明書に従ってネジ留めします。
水平器があれば、取り付け面が水平になっているか確認しながら作業すると仕上がりが綺麗です。
ネジ止めが終わったら、ペーパーの出し入れやタオルの掛け外しを試して、ぐらつきがないか確かめましょう。
なお、賃貸住宅で壁に穴を開けたくない場合は、強力両面テープや吸盤で取り付けるタイプのホルダーを利用するとよいでしょう。
ただし粘着タイプは耐久性が劣ることもあるため、可能であれば壁面にしっかりビス固定したほうが安心です。
中級者向けのDIY
続いて、中級者向けのDIYリフォームです。多少の手間や工具の扱いに慣れが必要ですが、慎重に作業すれば自分でできる作業を紹介します。
トイレタンクの交換・修理
トイレタンクの調子が悪いときも、自分で修理や交換ができる場合があります。
例えば「タンクに水が溜まらない」「常にチョロチョロ水が流れ続ける」といった症状は、タンク内部の部品劣化が原因のことが多いです。
この場合、ボールタップ(浮き球付きの給水バルブ)やフロートバルブ(ゴムフロート)といった部品を交換すれば改善できます。

ホームセンターで汎用部品が入手可能で、数百円~数千円程度と安価です。修理手順は次のとおりです。
まずタンクのフタを開ける前に必ず止水栓を閉めて給水を止めます。タンク内の水を流し切り、中の水位が下がったら、交換したい部品(例えばボールタップ)を取り外します。
部品の形状によりますが、多くはナットを緩めて外すだけで簡単に取り外せます。
新品の部品と取り替えたら、外した逆手順で元に戻し、止水栓を開けて動作を確認しましょう。水の止まり具合や流れが正常になれば修理成功です。
タンク自体にヒビが入って水漏れしている場合などは、タンク丸ごとの交換が必要になることもあります。
この場合は、新しいタンクを用意し、古いタンクを取り外してから取り付ける作業となります。
タンク交換の基本手順は、止水栓を閉めて給水管を外し、タンクと便器を固定しているボルトを下から緩めてタンク本体を持ち上げて撤去します。
次に、新しいタンクを古いタンクが載っていた位置に据え置き、便器との間に設置するパッキン(ゴムシール)を正しく当てたうえでボルトで固定します。
最後に給水管をつなぎ直し、止水栓を開けて水漏れがないか確認します。タンク交換作業は部品交換に比べて手順が多く、水漏れしないよう確実なシールが必要です。
不安があれば無理せず業者に依頼したほうがよいでしょう。
ちなみにトイレタンクの構造や仕組みについてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

壁紙の張替え
トイレの壁紙(クロス)張替えは、見た目を一新できる人気のDIYリフォームです。
最近は初心者でも扱いやすい、あらかじめ裏面にノリがついたシールタイプの壁紙も市販されており、失敗しても貼り直しできるため安心です。
作業に入る前に、まず既存の壁紙を剥がします。壁紙の端にカッターで切り込みを入れてめくり、ゆっくり引っ張れば剥がせます。剥がしにくい場合はヘラ(スクレーパー)を差し込みながら少しずつ剥がしましょう。
古い壁紙をすべて取り除いたら、壁面に残ったノリや紙を濡らしたスポンジなどできれいに拭き取ります。
次に壁の下地の凹凸を確認し、ひび割れや穴があればパテで平滑に補修しておきます。壁紙を貼る際は、天井に近い上部から貼り始めます。
あらかじめ壁の高さ+余裕分で壁紙を裁断し、柄物の場合は柄の位置合わせも考慮しておきます。シール壁紙であれば、裏紙を少しずつ剥がしながら壁に貼り付け、付属のスムーサーや布で空気を押し出すようになで付けていきます。
糊付き壁紙の場合は、壁紙に均一に糊を塗ってから同様に貼り付けます。貼り終えたら、上下やコンセントまわりの余分な壁紙をカッターナイフで丁寧に切り落として整えます。
トイレのような狭い空間では、一面のみアクセントクロスにするなど部分的な張替えでも雰囲気が大きく変わります。
初めての場合は一度に全部を張り替えようとせず、目立ちにくい場所から試すのもよいでしょう。
クッションフロアの張替え
トイレの床材の張替えもDIYで挑戦できます。
一般的にトイレの床には、水に強いクッションフロアと呼ばれるビニールシートが使われることが多く、材料費も比較的安価です。
作業の際は、まず既存の床材を剥がします。巾木(壁と床の隙間を隠す細長い板)がある場合は先に取り外し、古いクッションフロアを端からめくって剥がします。下地に残った接着剤や紙があればスクレーパーでこそぎ落とし、床面をきれいに掃除しておきましょう。
新しいクッションフロアは、部屋の形に合わせてカットして敷き込みます。あらかじめ床の寸法を測り、紙で型紙を作ってからクッションフロアを裁断すると失敗が少なくなります。
便器を取り外さずに施工する場合は、便器の輪郭に沿ってシートを切り込み、継ぎ目ができないように一枚で貼るのがポイントです。
クッションフロアを敷いたら、周囲を専用の接着剤または強力な両面テープで固定します。
特に出入口や便器まわりはズレやすいのでしっかり貼り付けましょう。最後に巾木を元どおり取り付けて仕上げます。
防水性のある素材なので、水が染み込まずお手入れも簡単です。
賃貸住宅で原状回復を優先したい場合は、接着剤を使わずマスキングテープ+両面テープで固定すれば、剥がしやすくなります。
フローリングの張替え
フローリング(木質の床材)への張替えも可能ですが、クッションフロアより難易度は高めです。
板状のフローリング材(フローリングパネルやフロアタイルなど)を用意し、部屋の形状に合わせてカットしながら敷き詰めていきます。
下地の状況によってはベニヤ板などで平らに調整し、専用の接着剤や釘で固定していく必要があります。
板材は硬いため、ノコギリや電動丸ノコなどで正確に切断しなければなりません。特に便器まわりの曲線部分や配管の開口部は、型紙を使ってぴったり合うように切り抜く作業が求められます。
継ぎ目や端部には見切り材やシーリング(コーキング)処理を施し、水が染み込まないように仕上げます。
木製のフローリングは質感が良い反面、水に弱く膨張しやすいので、トイレへの施工では防水性能に優れた材料を選ぶか、表面をしっかりコーティングすることが大切です。
DIYに不慣れな方は、接着剤付きのフロアタイルなど比較的簡単に施工できる製品を利用するとよいでしょう。
上級者向けのDIY
最後に、上級者向けのDIYリフォームです。高度なスキルや専門知識が要求され、一般の方が無理に行うと事故や失敗のリスクが高い作業になります。
DIYに自信のある方以外は、無理せずプロに任せることも検討しましょう。
便器の交換
トイレの便器(陶器製の本体)を新しいものに交換する作業は、DIYリフォームの中でも最も難易度が高い部類です。
重労働である上、給排水の接続部に不備があると深刻な水漏れにつながるため、非常に慎重な作業が求められます。基本的な交換手順は次のとおりです。
トイレの止水栓を閉め、タンク内の水を流して便器内の水も空にします。電源がある場合はコンセントを抜きます。
タンクと便座を便器から取り外します(そのほうが便器本体が軽くなり作業しやすいため)。
便器の両側面または床面に固定されているボルトナットをレンチで緩め、便器を床から持ち上げて取り外します。
このとき、便器と排水管の接続部にあるワックスリングやゴムパッキンが外れて悪臭が立ち上ることがあるので、外したら速やかに古いシール材を取り除きましょう。
床の排水口(フランジ)の周囲をきれいに掃除し、新しい便器用のシール材(ワックスリング等)を取り付けます。
新しい便器本体を所定の位置に慎重に据え付けます。排水口にしっかりとはまるよう垂直に下ろし、ぐらつきがないことを確認します。
便器と床を固定ボルトで締め付けます。陶器が割れないよう、左右均等に少しずつ締めて固定します。
タンクや新しい便座を便器に取り付け、給水管を接続します。
止水栓を開け、水が漏れていないかタンクまわり・便器まわりを注意深くチェックします。何度か試しに流してみて、正常に排水されるかも確認しましょう。
便器交換では、便器の規格の適合にも注意が必要です。排水方式(床排水か壁排水か)や排水芯の寸法が住宅ごとに異なり、新しい便器が合わないと接続できません。
また、床下の排水フランジの状態によっては専門的な調整が必要になることもあります。重量物の運搬・設置作業になるため、可能なら2人以上で行いましょう。
この作業は難易度が非常に高いため、知識や自信がない場合は、無理をせずプロに任せるのが賢明です。
和式から洋式への交換
和式トイレを洋式便器に改造するDIYは、非常に高度な作業です。
和式トイレは床に陶器の蹲踞(和式便器)が埋め込まれた構造で、これを撤去して洋式便器を設置するには、大掛かりな工事が伴います。
具体的には、まず和式便器を床から取り外し、排水管の形状を洋式便器に合うように改修する必要があります。
床の高さや排水位置が洋式用に合わないため、コンクリートを削る・壊す・切る等で加工し、その後排水管を移設したり、高さ調整の台を設けたりする作業が発生します。
さらに、洋式便器を固定するためのアンカーボルトを床に打ち込むなど、専門的な工程も必要です。
DIYで挑戦するにはハードルが非常に高く、水漏れリスクも大きいため、基本的にはリフォーム業者に任せることを推奨します。
ただ、簡易的な方法として、市販の和式トイレ用洋式便座(和式便器にかぶせて設置する簡易洋式便座)を利用する手段もあります。
これはあくまで仮設的な対処で、本格的な洋式化には至りませんが、工事不要で設置できるため、費用と工期を抑えたい場合の一時的な解決策となります。
いずれにせよ、和式から洋式への改装は大掛かりになるため、十分な経験と設備がない限りDIYは避けたほうが無難です。
トイレ全体のレイアウト変更
トイレ全体のレイアウト変更(配置換え)となると、DIYの域を超えた大規模工事になります。
例えば便器の位置を移動したり、トイレの間取りを変更したりする場合、床下の排水管や給水管の延長・移設、壁やドアの解体・造作など、建築工事と設備工事の両面が発生します。
このような工事は建築基準法などの法令遵守も必要で、専門知識が不可欠です。個人で必要な材料や工具を揃えること自体も難しく、工期も長期化するでしょう。
DIY経験が豊富な方でも、一部の作業は電気工事士や配管工の資格を持つ専門家に依頼する必要があります。
レイアウト変更を伴うリフォームは、最初から信頼できるリフォーム業者に相談し、設計から施工まで任せるのが現実的です。
トイレのDIYリフォームの際の注意点
トイレをDIYでリフォームする際には以下のような点に注意しましょう。
- 水漏れリスクがある
- 電気工事には資格が必要
- 賃貸物件では契約上の注意点がある
水漏れリスクがある
DIYリフォームでは、水漏れのリスクに十分注意しましょう。
特に給水管や排水管まわりの作業では、接続が不十分だとわずかな隙間から水が漏れ出し、気づかないうちに床下に水が広がってしまうことがあります。
水漏れは床材の腐食やカビの発生、階下への浸水被害につながりかねない重大なトラブルです。
作業時にはパッキン(ゴムシール)の入れ忘れやナットの締め緩みがないよう細心の注意を払ってください。また、取り付け後は必ず周囲を乾いた布で拭いてから止水栓を開け、接続部から水滴が出ないか目視でチェックしましょう。
特に便器と排水管の接合部や、給水ホースの取り付け部は要確認です。
少しでも漏れが見られたら、再度締め直すかシールテープを巻き直すなどして確実に止水してください。
万一大量の水漏れが発生した場合は、慌てず止水栓や水道の元栓を閉め、水がそれ以上出ないようにしてから対処します。
また、壁に穴を開ける作業では、壁内に隠れた給水管・排水管を傷つけないよう注意しましょう。
電気工事には資格が必要
トイレ内で電気工事を伴う作業をDIYで行うことはできません。
日本の法律では、コンセントの増設や照明器具の配線変更など電気設備の工事は、有資格者(第二種電気工事士など)でなければ行ってはいけないと定められています。
そのため、ウォシュレット用に新たにコンセントを設置したり、照明の位置を移動したりする作業は、必ず資格を持った電気工事業者に依頼してください。
無資格で電気工事を行うと、感電や火災の危険があるだけでなく、法令違反となり重大な事故につながる可能性があります。
なお、既存のコンセントにウォシュレットのプラグを差し込むだけであれば資格は不要です。
ただし、トイレは水まわりで感電リスクもあるため、電源を扱う際は十分注意しましょう。
作業中は必ずブレーカーを落としてから行い、作業後に通電して問題なく動作するか確認してください。
賃貸物件では契約上の注意点がある
賃貸物件でDIYリフォームを行う際は、契約上の制約に注意が必要です。
賃貸住宅では原状回復義務があるため、退去時に元の状態に戻せないような改造は禁止されているケースがほとんどです。
例えば便器そのものの交換や床材の張替えなど大幅な変更は、貸主の承諾なしに行うと契約違反となり、退去時に原状復旧費用を請求される可能性があります。
DIYをする場合でも、原状回復が容易な方法にとどめることが大切です。
具体的には、壁紙は貼って剥がせるリメイクシートを使う、床材は既存の床の上に敷くだけで後で撤去できるクッションフロアを使う、ホルダー類の取り付けは穴を開けずに強力テープや突っ張り棒で代用する、といった工夫が考えられます。
どうしても設備の交換などをしたい場合は、事前に管理会社や大家さんに相談し、許可を得てから行いましょう。
万一DIY中に水漏れ等のトラブルを起こし部屋に損害を与えた場合、借主であるあなた自身が修理費を負担する責任も生じます。
賃貸でのDIYは慎重に計画し、基本は「いつでも元に戻せる」範囲内で楽しむことを心がけてください。
トイレリフォーム専門業者に依頼すべきタイミング
トイレのリフォームをDIYではなくリフォーム業者に頼むタイミングは以下のような時です。
- 自分でDIYができない
- トラブルが発生した
自分でDIYができない
DIYでの対応が難しいケースでは、無理をせず早めに専門業者へ依頼する判断も重要です。
例えば以下のような場合は、最初からプロに任せた方が結果的に安心・安全でしょう。
- リフォーム内容が自分の技術レベルを超えている場合(配管工事や電気工事を伴う、床の張り替えなど高度な作業が必要など)
- 高齢で重い機材の運搬や長時間の作業が難しい場合、または持病などで無理ができない場合
- 仕事や育児で時間が取れず、短期間でリフォームを完了させる必要がある場合
- 仕上がりの精度や確実な保証を重視する場合(プロならではの美しい仕上げを求めるとき)
上記のような状況では、無理にDIYにこだわらず業者に依頼する方が、結果的に満足のいくリフォームにつながるでしょう。
トラブルが発生した
DIY作業中にトラブルが発生した場合も、無理に自力で解決しようとせず業者の力を借りるべきタイミングです。
例えば、便器交換中に排水管を破損させてしまった、水漏れがどうしても止まらない、電気系統でトラブルが起きた、など緊急性の高い問題が生じたら、速やかにプロに連絡しましょう。
対処が遅れると被害が拡大する恐れがあるためです。また、作業を進める中で予想外の事態が判明することもあります。
例えば床下の腐食がひどく素人では手に負えない、配管の配置が複雑で素人には組み立て直せない、特殊な部品が必要だが入手できない、といったケースです。
このようにDIYでは解決困難な状況に陥ったら、途中まで自分で進めていても、そこで一旦中止して専門業者に引き継ぐ決断も大切です。
プロに事情を説明すれば、途中からでも対応してもらえることが多いので、恥ずかしがらずに相談しましょう。
トイレリフォーム業者の選び方
トイレリフォーム業者に依頼する際は以下のようなポイントを意識して業者を選びましょう。
- 許認可や資格の保有
- 商品代や施工費用が明記されているか
- 保証やアフターサポート
- 口コミや評判
許認可や資格の保有
まずはリフォーム業者が適切な許認可や資格を持っているか確認しましょう。
具体的には、水道工事店として自治体の指定を受けているか(指定給水装置工事事業者など)、電気工事士など必要な資格を有するスタッフがいるか、建設業の許可を取得しているかといった点です。
公式サイトやパンフレットにこれらの情報が明記されている業者は信頼度が高いといえます。
無資格の業者に依頼すると、施工不良や法令違反のリスクがあるため注意してください。
商品代や施工費用が明記されているか
次に、見積もりや契約書に費用内訳が明確に記載されているかをチェックしましょう。
信頼できる業者は、便器やクロスなど商品の代金と施工費用を分けて提示してくれます。
たとえば「便器代〇〇円、解体撤去費〇〇円、設置工事費〇〇円」という具合に細かく明示してあれば、後から「聞いていない追加料金」が発生しにくく安心です。
逆に「一式〇〇円」といった曖昧な表記しかない場合は、後で高額な追加請求をされる可能性もゼロではありません。
不明瞭な点があれば遠慮なく質問し、納得できる説明をしてくれる業者を選びましょう。
複数の業者から見積もりを取り比較することも、適正価格で施工してもらうために有効です。
保証やアフターサポート
施工後の保証やアフターサポート体制も重要なポイントです。
リフォーム工事には何らかの保証期間が設定されているのが一般的で、たとえば「施工後1年間は無料で補修します」といった保証内容が契約書に明記されているか確認しましょう。
便器や温水洗浄便座など製品自体のメーカー保証についても、業者経由で適切に手続きしてくれるかどうか聞いておくと安心です。
工事後に不具合が見つかった場合、迅速に対処してくれる業者かどうかも大切です。
電話やメールで問い合わせたときに誠実に対応してくれるか、アフターフォローの評判が良いかなども判断材料になります。
長く安心して使うためにも、保証・サポートが充実した業者を選びましょう。
口コミや評判
業者選びでは実際に利用した人の口コミや評判も参考になります。
インターネット上のレビューサイトやSNS、または知人の紹介などから、その業者の評価を調べてみましょう。
ただし、ネットの口コミには主観的なものもあるため鵜呑みにせず、全体的な傾向を掴むことが大事です。

特に「説明が丁寧」「仕上がりに満足」「トラブル時の対応が迅速」といったポジティブな声が多い業者は信頼できます。
逆に、見積もり段階で対応が悪かったり強引な営業をかけてくるような場合は注意が必要です。
また、地元で長年実績があるかどうかも一つの目安です。複数の業者を比較検討し、総合的に信頼できると感じたリフォーム会社に依頼すると良いでしょう。
上記のようなトイレリフォームの業者選びに関してはこちらで詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ
トイレのDIYリフォームについて、メリット・デメリットから具体的な手順、注意点まで解説してきました。
DIYを上手に活用すれば、費用を抑えつつ自分好みのトイレ空間を実現できます。
まずは便座交換や壁紙張替えなど簡単なところから始め、経験を積んで慣れていくと良いでしょう。
ただし、水漏れや電気工事などのリスクには十分注意し、無理な作業は行わないことが大切です。
難しい工事やトラブルが発生した場合は、早めに専門業者に相談してください。
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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