NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とシャープは、エッジコンピューティングにおけるAI映像データ処理の普及拡大を目的にPythonコードによるAIデバイス向け高位合成ツール(HLS: High-Level Synthesis)をApache License 2.0のOSSで公開したことを発表した。

NEDO受託研究開発「映像データリアルタイム処理用AIデバイス高位合成ツールの研究開発」(シャープ公式サイト)
AI映像データ処理のさらなる普及拡大のために課題となる消費電力問題を見据えてNEDOとシャープが「省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業」で2022年から取り組んできた成果となる「AIRTIPS」v1.0は、映像データ処理用AIアルゴリズムが記述されたPythonコードから、回路図となるRTLコードを短時間で自動生成できるもので、エッジ端末のGPUをFPGAやLSIなど消費電力の低い専用デバイスに置き換えることで省エネなAI映像処理ができるように工夫している。
実際に同ツールを使って生成したRTLコードをFPGAに実装した検証では、電力効率がGPU搭載PCの40倍以上に向上することを確認したほか、専門技術者による開発では6週間かかるのに対し、ツールでは約5分と生成期間も短縮されたという。
PCゲームやローカルLLMを活用するとGPUの恩恵は一目瞭然だが、さらにICT/IoT社会が普及するとシーンに応じた低電力のエッジ端末が必要となってくる。そのような専用デバイス開発には専門技術者による回路設計と開発期間の短縮が必要になる旨を両者は述べている。