電通は6月11日、電通デジタルおよびLINEヤフーとともに、顧客像の分析や広告効果の可視化を目的とした共同プロジェクト「SynWA project(シンワ・プロジェクト)」を発足し、各社が保有するデータを活用した新たな分析ソリューションの提供を開始したと発表した。
取り組みの背景
近年、生活者のオンライン行動が多様化する中、企業のマーケティング活動では、リアルタイムかつ高精度な顧客インサイトの把握と活用が求められている。こうしたニーズに対応するため、電通と電通デジタルは2019年に旧ヤフーと共同で「HAKONIWA」を立ち上げ、2020年には旧LINEとともに「LINE DATA SOLUTION」を推進するなど、プライバシーに配慮したデータ活用に取り組んできた。
電通と電通デジタルは、2016年からセキュアな環境でデータを統合・分析できる「データクリーンルーム」の活用を進め、現在では年間1000件、累計3000件超の分析・コンサル実績を持つ。「SynWA project」においても、これまでに蓄積した知見とノウハウを活用し、データドリブンなマーケティングの高度化と企業の持続的な成長に貢献していくとしている。
「SynWA project」の概要
今回発足した「SynWA project」では、電通および電通デジタルが持つテレビ視聴データやアンケート調査データをLINEヤフーのビッグデータと連携。LINE公式アカウントやYahoo! JAPANでの検索・購買情報と掛け合わせて、統計加工した分析結果を活用する。
さらに、企業が保有する1st Partyデータも統合することで、より解像度の高い顧客像の構築を可能とし、マーケティング施策の立案から広告配信までを一貫して支援。潜在層へのアプローチから、購買層のLTV(顧客生涯価値)向上まで、統合的なコミュニケーションの実現を目指す。
今後は、広告効果測定やターゲティング最適化、顧客インサイトの深化など、企業ニーズに応じた分析ソリューションを順次提供していく構えだ。
なお、プロジェクト名の「SynWA」には、「Sync(同期)」「Synergy(相乗効果)」の意味を持つ“Syn"と、3社によるデータとノウハウの連携によって「輪(WA)」を強めるという意図が込められているという。